エビングハウス錯視に関する二つの説

  1. WIRED VISION | 子どもがだまされにくい理由
  2. ギズモード・ジャパン | 脳の大きさと錯覚に陥りやすさには相関関係があり!

エビングハウス錯視は、図形の大きさがその周囲に配置した別の図形の大きさによってゆがめられてしまうというもの。この錯視についてベクトルが異なる二つの説を見たことがある。

最初の 1. 説では、エビングハウス錯視は視覚全体を文脈として把握しようとする脳の能力によって生じているが、これは学習によってゆっくりと発達するというもの。

百聞は一見に如かずというが、時には見ることで騙されることがある。そしてそれは年齢によって異なるようだ。子どもと大人では、同じ物体でも大きさが異なって見え、大人が騙される錯視に子どもは騙されないことが、最新研究によって明らかになった。
錯視の起こしやすさに子どもと大人で差がある、というこの研究結果は、視覚を部分で捉えず、視覚全体を文脈として把握しようとする脳の能力がゆっくりと発達するものであることを示唆していると、スコットランドにあるスターリング大学の心理学者、Martin Doherty氏らの研究チームは述べている。同チームは、『Developmental Science』誌オンライン版に11月12日付けで発表した研究論文の中で、成人が持つ視覚的文脈への感受性は、10歳の子どもでもまだ完全には備わっていない、と結論付けている。
視覚的文脈への感受性を利用することで、視覚的文脈を実験的に操作し、物体の大きさに対する成人の知覚をゆがめることができる。その一例が、エビングハウス錯視と呼ばれるものだ[上の画像]。しかし、成人でなく子ども(特に7歳以下)の場合、この錯視によって大きさの知覚に変容が生じることを示す証拠はほとんどないことが、Doherty氏のチームの研究によって明らかになった。

次の 2. の説は、エビングハウス錯視は脳の視覚野の機能によって生じていると論じ、視覚野の小さい方がより歪んで見えると述べている。

私たちは脳の視覚野という部分において世界を知覚しています。視覚野の大きさは人によってそれぞれです。ある人の視覚野はほかの人の3倍の大きさであることもあります。そして、視覚野の大きさは知覚に深く関係しています。
(中略)
それから、被験者のMRIを撮りました。その結果驚くべきことが分かったのです。視覚野の大きさと錯視が人に及ぼす影響の大きさには、ほぼ完璧な関連があったのです。視覚野が大きい人ほど実際のサイズを認識していました。

素人の考えだが、子供の脳は大人のよりも小さいために視覚野も小さくなりそうに思える。はたして錯覚をもたらしているのは脳の特定部分の大きさなのか?それとも学習による経験なのか?それとも両方なのか?