NEC が ACOS メインフレームで Itanium を捨てて専用 CPU に回帰

NEC が専用 CPU「NOAH」で動作させたいた ACOS-4 系のメインフレームを Itanium エミュレーションで実現したのが2004年8月。

その新型機が 2010年11月に発表された。

そして今日(2012年8月)、Itanium から ACOS ネイティブ CPU に戻ることを発表した。新しい CPU 「NOAH-6」は新規開発なり。なんというアンシャンレジーム。

NEC が Itanium エミュレーション機を止めるのは、以下のような理由だと予想する。

  • Itanium エミュレーション機は ACOS 以外に WindowsLinux が動作することを謳っていたが、Itanium から RedHat が去り(12)、Windows が去り(id:nminoru:20100407:itanium) でメリットがなくなった。
  • Itanium プロセッサは開発・出荷が遅れ、性能面で他のアーキテクチャに見劣りした。
  • Montvale → Tukwila でチップセットが継承されないためサーバ機を作る側の開発コストが大きくなった。Poulson も同時実行命令数が 6 命令から 12 命令に増えるが、Itanium が Out-of-Order 実行ではないので全バイナリを Poulson 用にリコンパイルして検証し直す必要がありコストが大きすぎる。

Itanium エミュレーション ACOS は従来の NOAH バイナリをエミュレーションで動かすモードとリコンパイルして IA-64 ネイティブで動作させるモードを持っていた。しかし専用 CPU 機に戻すので IA-64 ネイティブバイナリは動作しなくなる。おそらく IA-64 ネイティブバイナリを持っていた客はほとんどいなかったんだろうね。

一つ疑問なのは Itanium エミュレーション機から x86-64 エミュレーション機へ移行しなかった理由だ。メインストリームの x86-64 なら性能面の進化は期待できるし、専用 CPU を作るよりはコストが安くつくはず。当然、WindowsLinux も動作する。

勝手に推測すると、

  • NOAH をエミュレーションを考えると x86-64 はメモリ周りの機能が少ないため Itanium エミュレーションよりも性能が落ちる。ならば専用 CPU の方がいい。
  • Xeon では期待する信頼性が得られない。
  • 専用 CPU といっても設計からやり直すわけではない。最新のプロセスルールを導入して、コア数とキャッシュを増やすだけだからコストはそう掛からない。

ぐらいかしら?