国内出版社が集まって出版デジタル機構を設立

 講談社小学館文芸春秋など国内の出版社20社が共同出資し、出版物の電子化を一手に請け負うことを目指す新会社「出版デジタル機構」が4月2日に設立されることが28日、分かった。3月に正式決定する。
 同機構の設立準備会によると、これまでに国内の約180の出版社が設立に賛同しており、社長には植村八潮・東京電機大出版局長が就任する予定。準備会は「100万点を目標に出版物の電子化を進めたい」としている。
 新会社は、電子化のノウハウを持たない中小出版社の支援や、電子書店や図書館に対する窓口業務も行う。電子書籍の普及に弾みをつけて、日本の電子出版物の国際競争力強化を目指すという。

 国内の出版業界が連携し、出版物の電子化を一括して請け負う新会社「出版デジタル機構」を4月2日に立ち上げることが固まった。ふだんはライバル関係にある講談社小学館集英社の大手3社を中心に複数社が計約12億円を出資する前例のない形で、書籍100万点の電子化をめざす。大日本印刷凸版印刷にも各5億円の出資を求めている。出資総額は20億円規模になり、さらに上積みされる見通し。3月に正式決定する。
 設立には180の出版社が賛同。社長に就任予定の植村八潮・東京電機大出版局長は「許諾さえとれれば、すべての本を機構で扱う」と話す。日本の電子書籍は約20万点だが、大半が携帯向けのコミックなど。機構が軌道に乗れば、読者が一般の本を電子書籍の形で手にとりやすくなる。日本市場に参入準備を進める外資企業にも、要望があれば電子データを提供する。
 機構がめざすのは、中小出版社でも電子化ができるインフラ整備だ。出版社は機構に書籍を提供するだけでよく、初期費用はゼロ。機構は、出版社と流通側の間に立ち、電子化して保管したデータを電子取り次ぎ(流通会社)や電子書店に卸売りする。一括請け負いで全体のコストダウンも図る。出版社がまとまることで、外資企業との対等な交渉もしやすくなりそうだ。電子書籍の値崩れを防ぐとともに、中小の多様な出版物を電子化して市場の成長につなげたい考えだ。今年前半には本格的に始動する。
 機構は、国が費用の一部を負担して書籍6万点の電子化を進める「コンテンツ緊急電子化事業」にも関与。6万点の大半を機構が手がければ、実質的に国内最多の電子書籍データを取りそろえることになり、「100万点」の突破口にする考えだ。(竹端直樹)

既存の電子書籍オンラインストアは相互運用ができない蛸壺だったわけだが、この手の出版サイドの組織が電子書籍を購入したユーザーの権利を保証することで永続性を実現できないだろうか?どのオンラインストアでかっても別のオンラインストアにインポートできるといった。