色の呼び分け方
このページでは色の呼び分け方の男女差が取り上げられているが、1969年のバーリンとケイの基本色名から始まる一連の研究があり、色の呼び分け方は人類の普遍性を示す性質として語られることが多い。
ねた元は「ヒューマン・ユニヴァーサルズ」。
ヒューマン・ユニヴァーサルズ―文化相対主義から普遍性の認識へ
- 作者: ドナルド・E.ブラウン,鈴木光太郎,中村潔
- 出版社/メーカー: 新曜社
- 発売日: 2002/07/20
- メディア: 単行本
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この本によるとバーリンとケイは以下のような実験を行い、その実験結果を報告している。
- 互いに関係のない主要な語系の中から幅広く98の異なる言語を選び、それらの言語のインフォーマンから色彩語のリストを収集した。
- その中で基本色彩語を抽出。基本色彩語とはこれは単一の語彙素からなり、その意味が他の色彩語に含まれず、適用に一般性があり、それを使う者にとってすぐわかること。
- 「赤味がかった」とか「濃い青」のように二つ以上の語彙素からなるものは除外。
- 「カボチャ色」「孔雀の羽の色」のような基本色でないものも除外。
- どの言語でも基本色彩語と考えられるのはせいぜい11語で、白、黒、赤、緑、青、茶、ピンク、オレンジ、灰。
- 言語の基本色彩語が決定された後で、その言語を母語とする話者に、カラーチャート上いその基本色の境界を線で示してもらった。
- カラーチャートは横軸が色相で、縦軸が明度の二次元配置された329色の色票。カラーチャートの横に白から灰色を経て黒色になる無彩色の9色票が置かれる。
- 基本色のカテゴリーにあてはまる色票を線で囲んでもらった。
結果、
- 色彩語の境界には違いがあった。色彩語が少ないほど範囲が広くなった。
- ただし基本色の焦点はどの言語でもほとんど同じだった。
- 言語に基本色彩語が増えるに従って、カラーチャート上の囲われている範囲が広くなったが、囲われていない領域は常に残った。
このため色彩分類が普遍性のない恣意的なものだという説は誤りだと結論付けられた。
この実験でさらに重要な法則が見つかっていて、言語の中に基本色のカテゴリーが増えて行く順序も決まっていた。
- どの言語にも必ず2つの基本色彩語がありそれは「黒」と「白」
- 3番目の色彩語がある場合、「赤」が加わる。
- 4番目の色彩語が加わる場合、「緑」か「黄」のどちらか。
- 5番目の色彩語が加わる場合、「緑」か「黄」の残りの方が加わる。
- 6番目は「青」。
- 7番目は「茶」。
- 8番目は「紫」か「ピンク」か「オレンジ」か「灰」。
バーリンとケイのこの研究以降、多くの色彩分類の研究が行なわれ、その結果、この順序は多少の修正が必要になったが、基本色彩語はおおむね普遍的なパターンで発展するということが確認されたそうな。