恐竜の絶滅原因は隕石説で決着!?

恐竜の絶滅について諸説あったが、独エアランゲン大のピーター・シュルツ助教(地質学)をリーダーに、122カ国41人のさまざまな分野の研究者が集まって1980年代にルイス・アルバレズ氏が提唱した隕石衝突説が正しいと結論したそうな。

隕石衝突説は、メキシコのユカタン半島のチチュルブに直径170キロメートルの隕石衝突痕が見つかり、それが白亜紀第三紀の境付近のちょうど6550万年前であることが判り、「巨大隕石が落ちたこと」自体は確定していた。

ただ問題は隕石が衝突した影響だ。新聞は以下のように記述している。

  • 小惑星衝突によって巻き上げられた物質が太陽光を遮断し、食物連鎖の基底にいる光合成生物が死滅。恐竜なども食料を採取できなくなり、全体で60%を超える生物が絶滅した―とするシナリオを複合的に裏付けた(河北新報)。
  • チームの計算によると、直径約10〜15キロ・メートルの隕石が秒速20キロ・メートルで当時浅海だった地表に衝突。エネルギーは広島型原爆の約10億倍に相当し、大気中に拡散した大量のちりが太陽光を遮断した。光合成を行う植物などが死滅した結果、食物が減少し、恐竜も絶滅に追い込まれたと考えられる(読売新聞)。
  • 小惑星は直径15キロほどで、毎秒20キロの速さで当時は海だったユカタン半島にぶつかったと推定された。衝突時のエネルギーは広島型原爆の10億倍に相当し、衝撃波と熱線が走り、マグニチュード11上の地震と、高さ300メートルの津波が起きたとみられる。1千億〜5千億トンの硫酸塩やすすが大気中に放出されて太陽光を遮り、酸性雨や寒冷化を引き起こし、植物プランクトン光合成が長期間停止するなど生物の約6割が絶滅したとみられる。1億5千万年以上続いた恐竜時代はここで終わったとしている(朝日新聞)。
  • 衝突による放出物は世界約350地点で確認された。放出物は大量のちりとなり、太陽光がさえぎられて地球上が寒冷化。5〜30度の気温低下が約10年続き、海のプランクトンや植物が死滅、食物連鎖の上位にいた恐竜などが絶滅したと考えられるという(毎日新聞)。

たしかにチチュルブに落ちた隕石が恐竜の絶滅の引き金になった説の根拠は多いのだが、恐竜以外にとっては激変とまではいかないようだ。

ただ化石記録を見ると、とくに陸上では"恐竜以外の脊椎動物の多くは"は白亜紀の末から第三期初頭にかけてまったく何事もなかったかのように存続している。
(中略)
北米西部は白亜紀最後(約7500万年前)から第三期初頭までに陸生脊椎動物の化石記録が連続的に追跡できる、世界でも唯一の地域である。しかも地理的には隕石が衝突したとされるユカタン半島から、数千キロメートルしか離れておらず、この衝突が引き起こした環境破壊が白亜紀の大量絶滅の原因であるなら、この地域の動物相は、世界でも最も壊滅的な被害を被ったはずである。

また隕石衝突後も生き延びた恐竜の化石が発見され、時間をかけて漸減していったように見えるのが隕石衝突説の弱点だと思われている。そのあたりはどう説明がついたのだろうか?

追記 (2011/12/4)

決着! 恐竜絶滅論争 (岩波科学ライブラリー)

決着! 恐竜絶滅論争 (岩波科学ライブラリー)

41人の著者の一人がこんな本を書いていた。