「反」ダ・ヴィンチ・コード―嘘にまみれたベストセラー
- 作者: ホセ・アントニオ・ウリャテファボ,Jos´e Antonio Ullate Fabo,目時能理子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2006/02/01
- メディア: 単行本
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ダン・ブラウンのダ・ヴィンチ・コードがトンデモだったので(id:nminoru:20060313:book)、その暴露本かと思って買ってみたが、これも半分トンデモ本だった。ダン・ブラウンの弱い部分はきっちり叩いているが、ダン・ブラウン側の新約聖書の起源や信仰に関する懐疑に対しては、自分の信仰を守りたいのか典拠を述べずに断定するということを平気でするんだよなぁ。どうも非カトリック的なものをグノーシスという言葉にまとめたいらしくえらく雑多なものがこのカテゴリーにまとめて放り込まれているし、古代の女神崇拝と現代のフェミニズムを同一視しているのも強引だし。共観福音書から始まる文献学的な比較研究の成果に冷淡。
以下の点には思わずツッコミを入れそうになった。
- 「コンスタンティヌスは異教徒だった」とい説への反論は強引すぎる。一神教の「太陽神教」を信じ、多神教の教徒ではなかったら OK なのか?
- P.174 12月25日の起源は「しがたって、ラテン教会が12月25日をキリストの誕生日と定めたのは、キリスト教の典礼がおこなわれた日から選んだとも考えられるわけだ」って、その前の文章から考えて無理がありすぎる。それにルカによる福音書にキリストが生まれたとき「野宿して羊の番をしていた羊飼いたちが、やってきて伏して拝んだ」という旨の記述があり、これが正しければキリストの誕生日は冬ということはありえない。そういう説を紹介しないのはアンフェアでは?
- P.176 聖人の光輪は「エジプト文化に限ったことではなく、ギリシャやローマでも描かれていた。」って、前者と後者の年代差は考慮しないのか?
- 日曜礼拝の起源