ダ・ヴィンチ・コード

ペーパーバック版が発売されたので出張の移動時間用に買って読む。これが初読。
ウンベルト・エーコの「薔薇の名前」(id:nminoru:20050724:p1)のようなものを期待していたのだが、聖杯伝説系としてはオーソドックなネタをかなり牽強附会にまとめていて肩透かしを食った感じ。なんか全体的な筋にも、細部のギミックにしても無理があるよ。

細かい点だけあげると、

  • 室内でも使える GPS 発信機
  • 盗聴に使えるぐらい大容量で低消費電力な HDD レコーダ
  • 恐ろしく時間のかかる文献検索
  • フランス警部が捜査権もないイギリスで警察活動をする
  • クリプティックスを破壊する方法を考えつかない(酢が凍る温度まで装置全体を冷却するとかいろいろあるだろう)

とか妙なところが多い。映画化指向というか、場面場面を考えてからそれを繋ぐストーリーを考えたという印象を受けるよ。

下巻の最後にある解説は荒俣 宏。荒俣氏はいろいろな本に解説を書いているが、本編のネタから繋げて広がるな解説を書く時と、本編に関連はあるけどほとんど関係ない解説を書く時と2パターンあるように思える。今回は後者のタイプ。氏も本編は好みでないのかもしれない。