「心理テスト」はウソでした。

神保町の三省堂エスカレーターの側に平積みされていたのを購入。

「心理テスト」はウソでした。 受けたみんなが馬鹿を見た

「心理テスト」はウソでした。 受けたみんなが馬鹿を見た

自分が関心を持っているからかもしれないが、最近 精神分析やその派生物への批判が増えてきているようにみえる(小沢牧子著の『「心の専門家」はいらない』とか)。この本は、そんな中で富山大学教育学部の教授である著者が、専門分野の心理テスト・性格判断に絞って批判を展開した本。扇煽的なタイトルが付いているのは、著者 (あるいは編集者) の戦略だと思われる。
具体的に取り上げられているのは ABO血液型性格判定、ロールシャッハ・テスト、矢田部ギルフォード性格検査、内田クレペリン検査の4つ。過去の研究・調査を挙げ、統計データの扱いを解説しながら議論を進めていくので、著者の主張には納得できる。個人的には、ロールシャッハ・テストの判定結果が観察者によって大きく変わるというのは初耳だった。
内容以外で面白いと思ったのは、参考文献や脚注が登場した(見開き)ページの左側に柱に載っている点。ページをあちらこちらに移動しなくてもよくて便利だ。
ただ参考文献リストがないのは減点。最初にこの本を手に取った時には、H.J.アイゼンクの著書 (「精神分析に別れを告げよう」など) が引用されているかどうかをチェックしようと思ったのだが、巻末にリストが見当たらないので素人の書いた怪しい本なのかと疑ってしまったよ。